東アジアで1人負け、日本のコロナ対策が「非科学的」といわれる根拠

過剰な患者隔離を前提にPCR検査を抑制 無症状者の放置が蔓延の原因だ  日本が「隔離」に消極的というと、違和感を抱かれる方も多いだろう。日本では、感染症法に基づき、感染者は強制的に入院隔離されている。第3波では対象は高齢者と基礎疾患を有する人に縮小されたが、コロナにエボラ出血熱並みの対応をしている先進国は、私の知る限り日本以外にない。他国では、感染者は基本的に自宅あるいは宿泊施設で「隔離」している。日本のようなことをしていたら、入院病床がいくらあっても足りない。  病床不足を緩和させるために、厚労省が採った方針がPCR検査の抑制だ。コロナ感染はPCR検査の結果に基づいて診断される。検査を抑制すれば、見かけ上、感染者を少なく見せることができる。コロナは無症状の感染者が多く、彼らが周囲にうつす。おまけに感染力が強い。  だからこそ、これだけ世界中で拡散した。ところが、PCR検査を症状がある人だけに限定した日本は、このような感染者を「隔離」できなかった。これが、東アジアで日本だけが国内でコロナが蔓延した原因だ。  無症状感染者の問題を世界が初めて認識したのは2月のダイヤモンド・プリンセス号の経験だった。それ以来、無症状感染はコロナ研究者の最大の関心事の一つだ。例えば、世界で最も権威がある医学誌の米『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』12月17日号に掲載された原著論文4つのうち2つはコロナの無症状感染者をテーマとしたものだ。残る2つはコロナワクチンである。世界の専門家が、どれくらい無症状感染に関心を抱いているかご理解いただけるだろう。