無題

当然ながら、母の人生に私の不在はある。私の人生に今まで母の不在はない。

いや、幼いころから少年期にかけ、母はしばしば私を置き去りにした。これは私には絶望的な恐怖であった。また、少年期より今に至るまで、しばしば嫌な夢を見る。もはや夢だとわかってしまう夢だ。それでも恐怖だ。母のいない家、母のいない朝に私は耐えられない。