私の父は私の人生の中でないことになっている。母の胃がんの入院で見舞いに来たときのみ遠くから見た記憶があるだけ。その一点のみだ。

母は、自身の家系のことを殆ど話していなく恐らくもうその機会もない。

私が母に頼る理由の一つがこれだろう。ルーツは母以外には不明なのである。曖昧模糊なんてものではなく全く不明なのだ。これは言いようのないさみしさと恐怖を与える。

この恐ろしさは本当に理解できないだろう。だから、サヘルローズを尊敬するよ。