自閉症スペクトラム

よく使われる言葉であるが、これほどエビデンスに乏しい概念もない。精神分析学をはじめとする、脳科学に基づかない、精神・心理学は、基本的に創始者の概念構成に過ぎなく、そのもとになる神経学的解剖学的知見はない。

スペクトラムあるいはスペクトルという言葉は、もともとプリズムなどの分光器や虹を思い出させる、物理科学的な知見である。

科学を装うためかこれを精神医学に流用しているだけだ。実際の意味は、せいぜいシンドローム・症候群と言った程度だ。これは関連する症状の束である程度の順序をもった連続体として思念されているに過ぎないのだ。

学習障害をはじめとするこれらの症状は、過去の天才たちの例を根拠として、時に本人の才能の優位性を、家族や本人に主張させている。そう言っている人たちが、その天才に匹敵するような業績を残すことはまずない。言わば慰撫的に使用されているだけだ。周囲は苦笑するしかないこと理解した方がいい。これは決して差別を意味しているのではない。エビデンスがないことを事実のように表明する風潮に閉口するばかりだということだ。