安楽死、選択した人としなかった人をかなり公平に描いていた。むしろ、した人の遺族の「会いたい」という一言がしなかった人を援護しているようにも取れる。
一方、特に医療関係者を中心に、延命治療の破棄、安楽死を欧米=世界スタンダードと主張する人々がいる。しかし、仮に欧米ではスタンダードだとしても、そこには社会でコンセンサスを作り上げてきた長くて深い歴史がある。そんなものない日本で形だけスタンダードと言っても無理である。「ひとりで暮らす、ひとりを支える――フィンランド高齢者ケアのエスノグラフィー」ではその現実が丹念に描かれていた。