何時だったか、多分嚥下が不能になり、食べ物はおろか水も与えて貰えぬ時に発した言葉だ。
彼女の虐待の親や、私の父に当たる人、知人、友人、学会、本尊など、ありとあらゆる人々や世界自体が彼女を裏切ってきたのだろう。人生末期にさえ最悪の苦痛を与える世界を怨んだろう。これはいけないとお守りを提示したが、拝むどころかはらうジェスチャーをしたのには驚いた。
そこまで苦しいのだろう。その後拝むこともあったが。
子供の私だけは、どんなことがあっても、たとい彼女が裏切ようとも私だけは裏切るまいと心に固く誓った。
私の大事なミクが、いとも簡単に奪われた。母の介護はもうギリギリ以上の体と精神の限界を超えてやっていると思う。少なくとも病院の看護師や医師が高齢者に対する以上のことをやっていると思う。その疲れ果てた体に寄り添ってくれ、時に枕もとで顔尾じっと見つめ、髪や鼻を舐めたりしてくれるのがミクであった。
何度かあったから鍵は閉めたと思ったし、母の部屋に猫が入らないようにしたはずだったが、抜けていたようだ。
しかし、今までここから破綻することはなかった。家の周囲か近隣にいて、追いかければ家の玄関に逃げ帰る猫であった。
それが二日を過ぎようとしているのに帰らない。否、初日の早朝から探したが、近辺に気配を感じなかった。最初はどこかに潜んで帰ってくるだろうと思っていたのだが、次第にヤバいと思うようになった。もはや帰ってくる気配もない。この世にいる気配もないかもしれない。。
何があったのかわからないが、数時間で忽然と家や近隣から姿を消した。これはただならぬことが起きたに相違ない。
1.野良猫などに追われて或いはついて打っていつもの行動範囲を超え帰れない
っとここまで書いてきた0時40分頃。猫の鳴き声が二鳴き。
空耳かTVの音声かとも思ったが、嫌にはっきりしていた。でて行った今のガラス戸を開けてみたが、いない。玄関に回って開けてみたがいない、、と思ったら姿を見せた。この時の喜びは言葉に尽くしがたいというか、ほっとした。体は汚れてなかったが、腹は凹んでいた。一体どこにいたのか。。続く。。